【映画レビュー】『火花』
点数:★★★★★
作品情報
監督:板尾創路
主演:菅田将暉 桐谷健太
作品概要
監督が板尾創路さん。
主演が今を時めく菅田将暉さん、桐谷健太さんのダブル主演です。
原作は皆さんご存知の芥川賞作の同名小説『火花』。
板尾さんと言えば、伝説的バラエティ『ダウンタウンのごっつええ感じ』での板尾係長などから分かる通り「シュール」の申し子、「笑いの天才」的な方です。必然的に映画の中にも面白いシーンがたくさんあります。
菅田将暉さんと言えば大阪の箕面出身の今大人気の若手俳優さんです。
大阪出身というだけあって、かなりの「お笑い好き」で有名ですね。
ダウンタウンの超がつくほどの大ファンで、酒飲みバラエティ「ダウンタウンなう」で見せたダウンタウンへの熱い思いと涙が印象的でした。
私も生まれも育ちも大阪で、松本人志さんの大ファンなので、それ以降、好感度Maxで、良い印象しかありません!!
桐谷さんと言えばauのCMの浦島太郎で有名な方。
私の印象としては親戚のおもろい兄ちゃん的な感じの人ですね。
今作品は、「芸人の儚くもかっこいい生き様」を描いた映画で、漫才シーンも作品中に出てくるので、配役的にもぴったりなお二人だと思います。
感想
「素晴らしい。。(泣)」の一言です。
芸人と監督の2足の草鞋の板尾さんだから、お笑い好きで芸人にリスペクトがある(僕の主観です)お二人だから生まれた「映画史に残る傑作」だと思います。
(Yahooの映画レビューでは芸人監督であることや吉本制作という理由で条件反射的に低評価をつけている人がいるため評価は低いですが。。。)
「持たざる者」の人生を肯定してくれる優しい映画
芸人の世界は厳しい世界です。
毎年、吉本の養成所から1000人近くの生徒が卒業します。
その1000人の中から、若手の劇場に立てる人が一握り。
さらに、そこからテレビに出られるのが一握りです。
完全実力主義の世界で、一部の「持つ者」とその他大勢の「持たざる者」に分かれます。
今作品の主人公の徳永(菅田将暉)と神谷(桐谷健太)は「持たざる者」で、苦渋の日々を送っています。
一方で、監督の板尾さんや原作者の又吉さんはその実力や運で一躍スターになった「持つ者」側の人です。
僕が一番素晴らしいと思ったのは、「持つ者」側の人達が撮ったこの映画が、決して「持たざる者」を否定せず、肯定してくれている点です。
映画の終盤あたりに、神谷が徳永に対して
「売れずに散っていった人は決して無意味だったわけじゃない。漫才で凌ぎを削ったり、相互に影響し合ったり、必ずお笑いの歴史の1ページとして関わっている。だから無駄じゃない。」
「お笑いをたとえやめたとしても、10秒あれば人を笑顔にできる。これは物凄いスキルだし、今後の人生で決して無駄にはならない。」
という旨の言葉を贈ります。
この言葉は決して嘘ではないと思いますし、これまで夢叶わず散っていった芸人、芸人に限らず実力主義の世界で「持たざる者」側にまわってしまった、すべての人を優しく勇気付けてくれる言葉だと思います。
実際に、板尾さんが芸人として様々なテレビや劇場に出ていた際にも、劇中の徳永や神谷のような沢山の「持たざる者」達がいたはずです。
その人たちは、総じて、必ず、この映画で自分の人生を肯定されたことでしょう。
芸人出身の板尾さんならでは
作中には、その他にも芸人出身の板尾監督ならではのメッセージやシーンが溢れています。
「生みの苦しみ」
「自分と世間とのギャップへの苦しみ」
「表現することの素晴らしさ」
作中にこれらが伝えるシーンが出てきますが、これらは板尾さんが芸人時代に感じた体験からきていると思います。それ故、観客にひしひしと伝わるものがありました。
また、神谷と徳永が出会った後の定食屋での「芸人特有の言葉遊び的なやりとり」劇場での「漫才シーン」は芸人出身の方ではないと絶対に撮ることができないです!!
芸人出身の板尾さんならではで、本当に素晴らしかったです。
ラストの圧巻の漫才シーン
作品終盤の徳永と相方の山下(2丁拳銃 川谷さん)の漫才の素晴らしさは、この作品を見た誰もが認めると思います。
菅田さんに至っては本当に凄く上手くて、本物の漫才師を超える勢いでした。
暫く日本の俳優界は彼を中心に回るのではないかと思うほどです!!
最後に
この映画で芸人は、この世で一番真っすぐでピュアな生き物なんだなぁと感じさせられました。
芸人さんって、笑いって、尊いですね。。
テレビでお笑いを見て自殺を思い留まったって話もよく聞きますし。
この映画は私にとって
「人を笑わせることの素晴らしさ」
「本気で人生をかけたものしか味わえない苦悩」
「努力しても報われない社会の厳しさ」
など様々なことを教えてくれた大切な映画となりそうです。
2億%の確信をもってオススメできる映画なので、興味をもたれた方は、映画館に足を運んでみてはいかがでしょうか?